生命保険の契約前に知っておくべき社会保険制度

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生命保険で万が一の保障や将来に向けて資産形成をすることはとても大切なことです。しかし、自分にあった生命保険を検討する前に、きちんと知っておくべきことがあります。それは国が提供してくれている社会保険制度です。

これはサラリーマン・公務員であれば、給与明細を見ていただくと健康保険料・厚生年金・介護保険料(介護保険料は40歳以降)という項目があり、毎月数万円という金額で強制的に引かれていることでしょう。フリーターや個人で事業をされている方は、国民健康保険料・国民年金・介護保険料などをご自身でお支払いされているかと思います。

このように毎月々支払っていることによって、例えば病院で治療を受けても治療費の3割しか負担しなくて良かったり、年金をもらえたりします。無駄な生命保険に加入して損しないためにも、社会保険制度をきちんと理解しておくことが重要です。

今回はそんな社会保険制度のことを改めて【元保険屋さんの本気のFP】シリーズとしてまとめていきます。

社会保険の種類

社会保険には広義での分類と狭義での分類が存在します(なぜ、このような分類があるのかは、ごめんなさいわかりません・・)。

まず広義での社会保険には【医療保険】【介護保険】【年金保険】だけでなく労働保険である【労災保険】【雇用保険】も含まれます。それに対して狭義の社会保険では労働保険部分は省かれ【医療保険】【介護保険】【年金保険】となります。

イメージ図をご参考までに載せておきます。各保険の内容を順番にご説明していきます。

社会保険の種類

 

公的医療保険の基本

(少し専門用語になりますが)公的医療保険には【被用者保険】(健康保険・共済組合など。会社員・公務員はこちらに加入しています)と【地域保険】(国民健康保険。フリーターや個人で事業をされている方が加入しています)があり、75歳以上を対象とした【後期高齢者医療制度】の3つがあります。

【被用者保険】【地域保険】【後期高齢者医療制度】のいずれに加入していたとしても、負担している保険料が若干異なる程度で保障内容は変わりません。とてもざっくり説明してしまうと、これらに加入していることで、病院で受けた治療費の全額を負担する必要がなくなります。小学校入学前であれば2割、小学校入学後~70歳未満であれば3割、70歳~75歳未満であれば1~3割、75歳以上は1~3割といった割合の負担ですみます(70歳以上で3割負担しなければならない方は、現役並みの収入を維持されている方です)。

また主な特徴をまとめておきます。

  • 会社員・公務員が加入している【被用者保険(健康保険・共済組合)】では、配偶者など収入が少ない方は自動で同様の保障を受けられるようになっています(いわゆる第3号被保険者です)。国民健康保険・後期高齢者医療制度では、このような仕組みはないため、全員が自分の保険料を支払わなければなりません。
  • 公的医療保険の保険料は、基本的に年収に比例します。年収が300万円の人よりも年収が700万円の人の方が、高額な保険料を支払っています(健康保険・共済組合の人は、保険料は労使折半なので自分で支払っているのは半額分になります)
  • 高額療養費制度】を活用できるのも、これらの公的医療保険に加入していればこそです。
  • 出産育児一時金】として一児につき42万円(産科医療補償制度に加入している病院などで出産した場合)が支給されます
  • 出産手当金】として出産前の42日間、出産後の56日間の間で仕事を休んだ日数分の金額が支給されます。標準報酬日額の3分の2相当額です(つまり、年収が高い人の方が多く受け取れます)。
    ※出産手当金は国民健康保険には存在しません
  • 傷病手当金】病気やケガを理由に、仕事を3日以上続けて休み、十分な給料を受けられない場合、4日から最長1年6ヶ月間支給sれます。こちらも標準報酬日額の3分の2相当額です(年収が高い人の方が、より多い金額でもらえます)。
    ※傷病手当金は国民健康保険には存在しません
  • 埋葬料】埋葬を行う人に対して、5万円が支給されます。
  • 健康保険の場合、退職後2年間は現職時と同じ健康保険に加入することができます(ただし、その場合の保険料は全額自己負担です)。【任意継続制度】です。

※高額療養制度に関してまとめた記事のリンクを下の方に掲載しておきます

生命保険・社会保険制度

 

公的介護保険とは?

こちらは現行制度では40歳の以上の人に関係がある制度です。それよりも若い人だと保障もありませんが、保険料の負担もありません。

公的介護保険は市区町村が保険者として管理しています。65歳以上の人が第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人が第2号被保険者です。大きな違いは、どのような状態になってしまった場合に公的介護保険が利用できるのかという条件です。

65歳以上の第1号被保険者は、どのような理由でも介護が必要な状態になってしまった場合(もちろん、保険料をきちんと支払っている)には公的介護保険を利用することができます。それに対して40歳以上65歳未満の第2号被保険者の場合、特定疾病(初老期認知症、脳血管疾患、末期がんなど)によって介護が必要な状態になってしまった場合のみ、公的介護保険を利用することができます。

つまり40歳以上65歳未満の第2号被保険者の場合、交通事故で介護が必要な状態になってしまっても、公的介護保険を利用することはできません。公的介護保険の保険料を負担していない39歳までの人も当然ですが、公的介護保険は利用できません。

私の65歳以上の祖父母も利用しているので、とても助かってはいますが・・・財政の問題もあるとは思いますが、公的介護保険だけでは補いきれていない部分が多い印象です。介護の保障は、最低限は自分自身で民間の生命保険(または資産形成)などで準備しておくことがおすすめです。

※介護保険に関しては別の記事でもまとめているので、詳細はそちらでご確認いただけますと幸いです。下の方に該当記事へのリンクを掲載しておきます

 

労働者災害補償保険(労災保険)とは?

労働者災害補償保険(労災保険)は、業務上や通気途中(労働者が家・会社間を合理的な経路および方法で往復した場合)における労働者の病気・ケガ・障害・死亡等に対して、給付が行われる制度です。政府管轄であり、窓口は労働基準監督署になります。

対象者は適用事業に雇用される全ての労働者(アルバイト・パートタイマー・日雇労働者・外国人労働者なども含む)です。1人以上の労働者を使用する事業所は加入しなければならない強制加入の制度です。こちらの保険料は事業主(会社)が負担するので、労働者個人で負担する金額はありません。

業務災害】と【通勤災害】がなり、給付内容は以下の通りです。

  • 療養補償給付(療養給付)
    労災病院または労災保険指定医療機関で、直接、療養の給付(現物給付)が行われます
  • 休業補償給付(休業給付)
    業務上のケガや病気で休業し、賃金をいただけない日が4日以上ある場合、4日目から給付基礎日額の60%相当額が支給されます
  • 傷病補償年金(傷病年金)
    業務上のケガや病気で療養し、療養開始後1年6ヶ月経過しても傷病が治っておらず、傷病等級1~3級に該当する場合に支給れます
  • 障害補償給付(障害給付)
    ケガや病気が治ったあと、障害が残った場合に支給される
  • 介護補償給付(介護給付)
    労災事故により労働者が介護を要する状態にあって、実際に介護を受けている場合に支給される
  • 遺族補償給付(遺族給付)
    労働者が業務災害または通勤災害で死亡してしまった場合、遺族(労働者に生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)に対して年金が支給される
  • 葬祭料(葬祭給付)
    業務災害・通勤災害で死亡した労働者の葬祭を行う人に対して、請求にもとづいて支給される

 

雇用保険とは?

雇用保険があるので、失業保険がもらえます。失業や転職活動をされない人には縁のないことかも知れませんが、雇用保険はかなり重要です。雇用保険があるおかげで、労働者が失業した場合に必要な給付(失業保険)を受けることができたり、公共職業安定所(ハローワーク)にて無料で再就職の援助をしてもらえたりします。

ちなみに保険料はお給料の明細を見ると、いくらか天引きされていると思います。雇用保険の保険料は労使折半ではないですが、法人もいくらか負担してくれています。では具体的にどのような保障があるのか順番にまとめていきます。

  • 求職者給付(基本手当)
    一般的に失業保険と呼ばれているものです。働く意思と能力がある失業している人に対する給付です。受給できる内容・条件は勤続年数・失業した理由・失業者の年齢によって異なります。
    例えば、約10年(10年未満)勤続されていた人が自己都合で退職すると給付日数は90日です。それに対して約10年(10年未満)勤続されていた45歳の人が会社都合で解雇になったとすると240日も失業保険を受け取ることができます。
    また自己都合で失業された人は、失業保険をすぐに受け取れる訳ではなく最長3ヶ月+7日間の給付制限があります。会社都合で失業された人の場合は待ち期間はたったの7日間です。
  • 高年齢求職者給付
    (同一の事業主に)65歳以降も雇用されている人が離職した場合に、一時金で支給されます65歳以降に雇用されていた期間が1年未満だと30日分、1年以上あると50日分受け取れます。待機期間は求職者給付(失業保険)同様で、自己都合で失業された人は、最長3ヶ月+7日間の給付制限があります。会社都合で失業された人の待機期間は7日間です。
  • 就職促進給付
    就職の促進と支援をするための給付です。求職者給付(失業保険)の受給期間中に、再就職先が決定した場合(アルバイトでもOK)に支給されます。また失業後すぐに再就職が決まっても受け取れないという特徴もあります。
  • 教育訓練給付
    労働者等が自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する講座を受講し、終了した場合に、その費用の一部が支給されます。【一般教育訓練給付金】と【専門実践教育訓練給付金】があり、それぞれ条件が異なりますが、【一般教育訓練給付金】では受講料等の20%相当額、【専門実践教育訓練給付金】では受講料等の40%相当額(上限は32万円)を受け取れます。
    また【専門実践教育訓練給付金】を受給できる45歳未満の離職者などは、【教育訓練支援給付金】も受給することができます。受講期間中に雇用保険の基本手当相当額の半額が支給されるという大変素晴らしい制度です。
  • 雇用継続給付
    高齢者や育児・介護をしている人に対して必要な給付を行い、雇用の継続を促すための制度です。【高年齢雇用継続給付】【育児休業給付】【介護休業給付】の3つがあります。

※別で失業保険についてまとめた記事もあるのでそちらもご参考にしていただけますと幸いです。下の方に該当記事へのリンクを掲載しておきます

 

まとめ

今回まとめたように社会保険にも、かなり様々な万が一の保障があります。この保障で十分な人は、基本的に生命保険に加入する必要がありません。しかし、保険屋として約10年でお会いした多くの人々の状況を見ていると、社会保険だけで十分だという人は皆無でした。

ご自身で社会保険について勉強して、最適な生命保険を選ぶことはとても素晴らしいことだと思いますが、今回(簡単に)まとめたように社会保険はかなり複雑な分野です。貴重な時間を有効に活用する意味でも、私は保険屋さんやFP(ファイナンシャルプランナー)への無料相談がいいんじゃないかんぁと思います。

元保険屋の私の知識・経験を元にまとめています。少しでもお役に立てたら幸いです。

※ご参考