配偶者の法定相続分が3分の2になる!?

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今回は少し動きがある相続税法についてまとめていきます。以前の記事でも書きましたが、相続税と生命保険はとても密接な関係にあります。例えば、金融商品も相続税の課税対象だったりしますが、生命保険だけは相続税の優遇枠があったりします(詳細は該当記事のリンクを下の方へ張っておくのでご参照ください)。

今回ご紹介する相続税法の改正に関してはですが、実はまだ決定事項ではなく、現時点では議論されているという程度のお話です。ただ時代の流れから想像するに、議論されている内容の多くは(多少の調整はあれど)ほぼ実現するのではないかなぁ、と個人的には考えております。

相続税法の改正点 2016年の論点

今回議論されている相続税法の改正点は大きく4点あります。

  • 配偶者の法定相続分を3分の2へ引き上げ
  • 配偶者に【居住権】の新設
  • 相続人以外の介護・看護者に請求権の新設
  • 自筆遺言の形式の緩和

それぞれ簡単に内容を解説していきます。

 

配偶者の法定相続分を3分の2へ引き上げ

まず『配偶者の法定相続分を3分の2へ引き上げ』についてです。これでま配偶者の遺産分割は2分の1であり、他の法定相続人と比較すると、元々有利に設定されていました(1980年の相続税改正時に3分の1から2分の1に引き上げられました)。それを今回、さらに3分の2へと引き上げることが議論されています。

具体的には、配偶者は一律に3分の2の遺産を引き継げるようにするという訳ではなく、【結婚して一定期間(20年または30年)過ぎたケースでは、法定相続分を引き上げる】という案、【結婚後に所有財産が一定以上増えた場合、その割合に応じて法定相続分を引き上げる】という2案が検討されているようです。

狙いとしては、相続時の年齢が高齢になった奥様たちの生活を保護することとありますが・・・ご主人が亡くなった時点で相続となり、相続税が課税されます(相続税の課税1回目)。その数年後に奥様が亡くなると相続となり、また相続税が課税されます(相続税の課税2回目)。つまり、配偶者が亡くなった際により多くの財産を配偶者が相続してくれた方が、2回目の相続税でより多くの税金を回収できる可能性があります。

新聞記事などには出てきませんが、『税収を上げるために、少しでも多くの相続税を回収すること』あたりが政府の狙いなのではないでしょうか。

 

配偶者に【居住権】の新設

次に『配偶者に【居住権】の新設』についてです。現行では、亡くなった夫が自宅を第三者に相続(贈与)した場合、妻はそのまま自宅に住み続けられますが、退去を求められる恐れがありました。そこに今回、妻が何事も心配せずに住み続けられるよう『配偶者に【居住権】の新設』することが検討されています。

議論されている案では、配偶者は一定期間または亡くなるまで【居住権】を与えることが検討されているようです。

 

相続人以外の介護・看護者に請求権の新設

『相続人以外の介護・看護者に請求権の新設』についてです。これは、うまく導入しなければ“相続”が“争続”となるご家族が増える可能性が高いのではないかと思っています。

現在の制度では、例えば長男の妻が介護した義父母の財産を相続する権利はありません。それが『相続人以外の介護・看護者に請求権が新設』されることで、相続人以外の人が介護・看病などで献身的な貢献をした場合、相続人に金銭を請求できるようになります。つまり例のような長男の妻が義父母の介護に尽力した場合、相続人である長男らに対して金銭の請求をできるようになるということです。その際に請求する金額が協議で決まらない場合は家庭裁判所が決めることになりそうです。

無償の奉仕として義父母の介護・看護をしている方にとっては、大変素晴らしい制度改正かと思われます。

 

自筆遺言の形式の緩和

『自筆遺言の形式の緩和』についてです。上述したような相続税法の改正が行われた場合、“相続”が“争続”となるご家族が増えてしまうことを政府も想定しているようです。そのための対策として『自筆遺言の形式の緩和』も盛り込まれています。

『自筆遺言の形式の緩和』が実施されると、全文を自筆で作成する「自筆証書遺言」の場合、財産目録はパソコンで作成することが認められます(パソコンの普及率などを鑑みれば、この緩和は時代に合わせて調整ともとれます)。

相続税・改正点・2016年

 

相続税法が改正された場合の懸念点

これまで具体的に議論されている相続税法の制度改正のポイントをまとめてきました。これまで以上に、故人の財産形成や人生に貢献してくれた人が、きちんと遺産をもらえるような仕組みを整えてきているように感じます。頑張った人がきちんと報われるようになる気がするので、大きな改正の方向性としては、個人的にはとても素晴らしいと思います。

ただし、この制度改正が実現したことで、遺産の取り分が減少する法定相続人も一定数いるであろうことから、そのような法定相続人からの反発は予想できます。これまで以上に“相続”が“争続”となるご家族が増えるでしょうから、きちんと生前に遺言書などで故人の遺志を残しておくことが重要な時代になるでしょう。

 

まとめ

今回、議論されている内容が実現されると同じ家族の中でも、優遇されて喜ぶ人と、そうでない人が明確に別れるようになります。つまり、家族内で争う可能性がぐんと上がるように感じます。

“相続”が“争続”とならないよう、きちんとご家族でコミュニケーションをとることが重要であり、きちんと生前に遺言書などで故人の遺志を残しておくことがとても重要な時代がすぐそこに迫ってきているように思います。

※ご参考